データ解析のための統計モデリング入門

調べもののために本屋で本を探していたら、たまたま目についたので立ち読みしたのですが、結構良さげだったので買ってしまいました。

がっつり基礎数学やってそうな見た目の表紙ですが、以外にも実用に寄ったタイトル通り「入門」書になっています。
業務で統計解析を使おうとしている人、すでに使っているが体系的に学んでこなかった人なんかにはおすすめです。特に、統計学自体は必要に応じて独自で勉強できるが、データ分析の実務にそもそも何が必要なのか体系的に整理できてない人にはハマる本かなと思いました。
 
自分も、実務で必要になってから都度その項目を勉強する形で統計学(というか、分析のお作法??)を学んできたのですが、もうちょっと最初にこれを読んでおけばかなりショートカットできたのではないかと思ってます。
 
具体的には、統計モデリングの目的整理をして、その作業の流れを追いながら、その中で登場する統計学の知識について解説していく内容になっています。また、具体例として単純な問題設定が提示され、それに対して必要最低限のRのコードを参照していく形式になっていて、自分で手を動かせるのもポイントです。
とにかく、データの統計分析を実施するシチュエーションとして必要最低限の簡素な設定で話が進むので、余計な点を考慮しなくてよく、非常にわかりやすく重要なポイントのみを抑えることができることと、その各ポイントについても一旦深入りせずに全体の流れを把握させることに重点を置いているため俯瞰しやすいです。
データ分析に足を踏み入れる人たちにとっては、まさにこの本のようなが入門コンテンツ必要だと感じていて、自分でもなんとか生み出せないかと考えていたのですが、こういう良本がすでにあるんですね><
 
また、自分の場合は、実務ではpythonメインでRは必要なときだけ手を出す感じでRにそんなに明るくなかったので、「必要最低限のRのコード」自体もかなり有益でした。
 
 
この本の良いと感じたポイントをまとめるとこんな感じ。
統計学を使うデータ分析者のスタンス(みんなの頭の中にある前提)が明記してある。
・必要最低限の仮定と問題設定で、統計モデリングの作業において重要なポイントが簡潔に把握できる。
・重要なポイントについて、深入りせずに話が進み、全体を俯瞰できる。
・Rのコードをなぞることで手を動かせるし、そこで実行される計算の具体的なイメージもつくようになる。
 
 
 
自分は、統計モデリングとかデータ分析って、いろいろな理由で物理学とかと違ってすごく勉強しづらいと感じていて、その障害を超えられるようにうまくできた本だなと感じました。
なんというか、分析において適宜顔を出してくる数学的な証明とか背景の知識とかって、それら自体を要所要所で追うことは結構できるんですが、そもそもの全体感というかストーリーを先に把握しておかないと、それらを理解するモチベーションが湧かない。それなのに、全体感自体は分析の手段の話なので、全体感を捉えようとしても、背後にある思想とかスタンスの話にならなくて全体感が捉えられない(?)。みたいな違和感をずっと持っていたんですよね。この本は、導入部分からその点について整理されていて、かつ一旦全体を俯瞰してみることが1つの目的のような進め方になっていたので、かなり気に入って読んでます。